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レビュー『天目危机』

天目危机

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公式weibo:https://weibo.com/u/6437537252

 

形式

 ドラマ(全12話)

 

放送期間

 2021年8月〜9月(2018年撮影)

 

メインキャスト

 李天:张睿

 服部介:张孝全

 张妮:何杜娟

 山崎大昌:苗侨伟

 李秀夫(青年):刘学义

 黒木弘:倉田保昭

 

放送局

 芒果TV

 

日本からの視聴方法

 芒果TVアプリから

 

あらすじ

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 アメリカで物理学を学ぶ天才・李天(演:张睿)は、「意識は現実をも変化させる」と、人間が持つ意識の力の強大さを研究していた。ある日、彼の元に日本から小包が届く。そこに入っていたビデオを再生すると、ウサギの面を被ったバンドのライブ映像と、自分の母が踏切で電車に轢かれる映像が流れた。新聞で母が東京で本当に踏切事故にあったという記事を見た李天は、母を探しに東京へ行くことに。飛行機で隣席だった中国人女性・张妮(演:何杜娟)とひょんな縁で行動を共にした彼は、杉並警察署に行き、そこで山口刑事(演:苗侨伟)から母の事故について聞く。

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 山口刑事は、事故の記事を書いた記者・服部(演:张孝全)に話を聞くことに。そこで服部から、事故の写真にマスクをつけた中年男性“十字路口的使者”がいること、自分が以前類似の事故を目の当たりにした時、ある曲が流れていたこと、その曲のタイトルは“十字路口的使者”、20年前に大ブームを巻き起こした12人組バンド・Avant Gardeの唯一の曲で、彼らが20年前に鹿鳴館でのライブ中に大火災を起こし、200人以上の死傷者を出した時に歌っていた曲だったことを聞く。そして服部は、李天の母がそのバンドのボーカルではないかと疑う。 李天の母の事故と20年前の火災の間には、どんな因果関係が隠されているのだろうか……。

 

評価点数

 3点(5点満点、0.5点刻み)

 

総評と感想

 全編視聴後、最初に出た感想が「つまり、どういうこと…?」でした。最初はホラー要素の入ったミステリーサスペンスものかなと思っていましたが、9話から急にサイコパスとの超能力バトルみたいになっていき、最終話の流れやあの結末も、頭の中に「?」が何個も浮かぶほど、とても解釈が難しかったです。「結局あのキャラはその後どうなったの?」というような登場人物も何人もいて、前半のお話の雰囲気が良かった分なんだか消化不良でした。

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 今作は本編がほぼ日本でのロケとなっており、特に東京住みにとっては耳馴染みのある地名がたくさん出てきます。役者さんたちが日本の地に足を踏み入れてくれたり、何名かは実際に日本語のセリフを話していたりなど、日本人視聴者として少し嬉しかったです。また、舞台が日本なため、サブキャストの方々は日本人の方ばかりです。もちろんその方々のセリフは全て日本語です。なので「本当に中国のドラマを見ているのかな?」というくらい本編でたくさん日本語が登場しました。おかげで視聴がスムーズで助かりました笑

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 物語前半部分は、良い感じに背筋がヒヤッとするような薄気味悪さを携えたミステリーもので、見ていてハラハラして続きがどう展開されていくか楽しみでした。主人公は、少し感情的すぎる部分が個人的には無理だなと思ったのですが、頭の回転が速く謎にどんどん迫っていっていたのがすごかったです。そんな主人公も黒幕の凶悪さには危うく足を取られそうになっていました。終盤になると黒幕の正体が分かるのですが、今までそんな素振りを見せていなかった分その豹変さが恐ろしかったです。あととにかく狂っていて本当に怖かったです。

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 お話前半に時間を割きすぎたのか、元々12話構成なのでどうしても最後駆け足になってしまったのか、元はもっと話数があったが審査でカットされたのか分かりませんが、最後の着地の仕方がふわふわしててよく分からなかったのが、うーん…という感じでした。それ以外にも、後半はよく分からない意識の世界でのバトルみたいになっていて、前半のあの描写の丁寧さはどこに…?という感じでした。改めて思い返せば前半もそこまで丁寧ではなかったかもしれません。忘れました。とにかく最終話が個人的にはちょっと…となってしまったので悲しかったです。日本だけでなくスイスにまで行ってて、ロケにすごくお金かけたドラマなはずなのでもったいないな、と。

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 話は変わりますが、元々今作は青年李秀夫を演じられた刘学义さん目当てで見始めたので、本当に辛かったです(泣)。というか結局秀夫があの後どうなったのかも教えてくれなかったし、ずっと可哀想なめに遭ってばかりでしんどかったです。それでもやっぱりとってもかっこよかったです、青年秀夫が出てくるシーンが楽しみでした。秀夫ありがとう。

 

 日本が物語の舞台であるため、とても自然に日本風の要素や日本語が作品内で出てくるのが嬉しいなあと感じました。全12話で短めですし、ミステリーサスペンスものがサクッと見たい方にはオススメです。

 

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