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レビュー『我不是药神』(邦題:『薬の神じゃない!』)

我不是药神』(邦題:『薬の神じゃない!』)

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公式weibo:https://weibo.com/u/6155884989

 

形式

 映画

 

上映年

 2018年7月5日

 

メインキャスト

 程勇:徐峥

 曹斌:周一围

 吕受益:王伟君

 刘思慧:谭卓

 彭浩(黄毛):章宇

 刘牧师:杨新鸣

 张长林:王砚辉

 

日本からの視聴方法

 日本の各種配信サイト、爱奇艺、腾讯视频、优酷アプリなどから(ジオブロあり)

 

あらすじ

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 中国・上海。白血病治療のための薬・格列宁はあまりにも高価で、一般市民には手を出せないほどだった。病気の父の手術代が必要な程勇(演:徐峥)は、白血病を患っている男性・呂受益(演:王伟君)に、お金が必要なら、インドで売られている格列宁と薬効は全く同じだが価格が20分の1の薬(中国では違法薬とされている)を中国で売ってくれと持ち掛けられる。初めは拒否する程勇だが、彼もお金が必要だったため、インドに向かい薬を買い付けることに。中国国内で販売を始めると、巨大な需要に支えられて程勇は見る見るうちに大金を稼いでいき、販売仲間のような存在もできた。しかし、张长林(演:王砚辉)にインドの薬を販売していることが露呈し、脅しを受けて程勇はインドの薬の販売をやめた。

 一年後、工場の経営者になっていた程勇の元への妻がやってくる。彼女によると、は捕まり、薬が手に入らなくなっては死にそうになっていた。病室で弱り切ったを見て、程勇は再びインドに向かい薬の買い付けを再開する。しかしは間に合わず亡くなってしまった。今度は人を救うために薬を売ろうとした程勇は、500元での販売を決める。だが、違法薬を取り締まろうとする曹斌(演:周一围)ら警察の動きも活発になってきて……

 

評価点数

 3.5点(5点満点、0.5点刻み)

 

総評と感想

 4年前、中国で話題作となった映画です。日本でも劇場公開され、配信サイトでも日本語字幕で見ることができます。社会問題を描きつつ、終盤は辛さと悲しさで涙が止まらなくなる感動作でした。

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 物語のきっかけは、白血病患者への正規薬である格列宁が法外な値段で、中流〜貧困世帯には手が出せないため、インド産の価格の安い薬を求めようとしたこと。最終的には格列宁も医保の中に入り、手に入りやすくなったことが描かれました。

 中国の医療保健制度について詳しくは知らないのですが、日本の国民皆保険とは違うのかなと思うので、こういう医療の格差問題は発生するよなと思いながら見ていました。この作品を通じて、改めて中国の社会について考えようと思えるきっかけを与えてもらいました。

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 話の内容としては、最初はお金儲けのためにインドの薬を売っていて、白血病患者をお金をたくさん使ってくれる客としか見ていなくて、富豪になってつけ上がっていた主人公が、呂の死を通じて白血病患者たちのことを真摯に考えるようになり、彼らを1人でも救うために自身の危険を顧みず薬を売るようになった、という心情の変化が印象的でした。

 また、インドの薬(=当時の中国では違法薬)を売っている人間を取り締まろうとする警察に対し、そのインドの薬で命が長らえられている患者が訴えかけるシーンも個人的には印象深いです。というか、主人公が1回インドの薬の販売から足を洗ってから1年後の、作品後半部分はもう全シーン印象的で......、ぜひ見ていただきたいです。

 

胸が締め付けられ、社会についても改めて考えさせられる感動作です。日本の配信サイトでも見れるので、興味を持った方はぜひご覧ください!

 

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