中国エンタメを見守る

中国のドラマやバラエティ番組のレビュー、たまにアイドルグループオーディション番組の回顧録など

レビュー『我才不要和你做朋友呢』

我才不要和你做朋友呢』

f:id:Omochimochimochi:20210105130117j:image

公式weibo:https://weibo.com/u/7322259187

 

◎形式

 ドラマ(全24話)

 

放送期間(撮影年)

 2020年5月〜6月(2019年撮影)

 

メインキャスト

 李青桐:陈昊宇

 李进步:宋达菲

 段霄:周彦辰

 陈君何:马思超

 吴智勋:古子成

 

放送局

 芒果TV

 

日本からの視聴方法

 芒果TVアプリから(VIP会員限定)、YouTubeから

 YouTubeリンク:https://youtube.com/playlist?list=PL0PsHrQxhYwTayTIQnrUnIlLOVvRVm6fE

 

あらすじ

f:id:Omochimochimochi:20210105145406j:image

 母子家庭で育ち、母親との関係もあまり良くない高校2年生の李进步(演:宋达菲)は、ある日母と大喧嘩をし家を飛び出し、1人で入った銭湯のサウナで意識を失ってしまう。目覚めた进步の前に広がっていたは、20年前・1999年の母の生まれ故郷だった。进步は、自分と同じ高校2年生の母・李青桐(演:陈昊宇)に出会う。母を自分の手で“真人間”にしようと、青桐やその友人たちと共に生活を送っていく。次第に過去の世界での生活にも馴染み、楽しい毎日を送る进步。しかしそんな彼女の前に、謎の男性が現れ「もうすぐ終点に着く時間だ」と告げるのだった。

 

評価点数

 4.5点(5点満点、0.5点刻み)

 

総評と感想

 青春物語と母子の物語を同軸で描いた作品。いいドラマに出会った!というのが率直な感想でした。初めから終わりまでしっかりと全話見切った中国ドラマは、この作品が初めてだったのですが、これが初めてで良かったなと思えるくらいとてもお気に入りの作品になりました。

f:id:Omochimochimochi:20210105150743j:image

 まず、物語の作りがとても丁寧だという印象を受けました。「過去の世界にタイムスリップし、そこで自分と関わりのある人々に出会う」というコンセプト自体は、もう既に目新しくはないのですが、その“過去の世界にきた”ということを殊更に強調するのではなく、主人公が過ごす日々を丁寧に描いているのがいいと思っています。普通の青春ドラマを見ているような気持ちになるんですよね。それで、ふとした時に謎の人物が現れることによって、物語の雰囲気にも視聴者にも緊張感が蘇る。このバランスが絶妙で私は好きです。

f:id:Omochimochimochi:20210105145213j:image

 あとはキャラクターの作りがいいですよね!进步はダメダメな母・青桐をまともな人間にしようとあれこれ厳しく接したりするんですけど、視聴者からすると进步の方が精神的に子どもだなと。周りの人に対してけっこう傍若無人な振る舞いをしてしまうんですけど、それはただ彼女が幼いなりに必死だから、というのが見ていて伝わるので、とても愛おしくなります。

f:id:Omochimochimochi:20210105150647j:image

 青桐は、騒がしくて単細胞なおバカキャラかと思いきや、しっかりと自分の中に芯が通っていて、自分の大切な人のためなら自ら泥を被るようなかっこいい女の子です。底抜けの明るさで、物語の中でも人を救っていましたし、彼女の強さと明るさに私自身も元気付けられたなと思っています。そして青桐を演じている陈昊宇さん、なんと撮影時は27歳だったんです(1992年生まれ)!実年齢より10歳も下の歳を演じているのに、違和感の欠片もなく、演技力が本当にすごいなと感服しました。

f:id:Omochimochimochi:20210105145352j:image

 主人公の女子2人だけでなく、周りの男の子たちもみんな可愛いです。段霄は本当に理想の男の子。进步に対して甘々でデレデレなところが最高に可愛いです。演じている周彦辰くんは、メイクが薄いとすごく幼くて愛くるしい顔なのですが、彼のその良さがピッタリとハマる役だったなと思っています。私自身元々彼のファンで、彼が出ているからこの作品を見始めたので、彼がとても素敵な作品の中のとても素敵な人物を演じられたことが幸せです。

f:id:Omochimochimochi:20210105145228j:image

 あと、私が1番好きなのが、古子成くん演じる吴智勋なのですが、彼もとってもとっても愛おしいキャラクターです。学校一の秀才だけど、実はとても不器用な子。今まで親の厳しい制限のもと勉強しかしてこなかったから、人付き合いが苦手なんです。そんな彼が青桐に次第に心を開いていく姿や、青桐のことをとても大切に思っているけれどその気持ちの表現の仕方が上手くいかなかったりする姿が、本当に見ていて愛おしさが爆発しますし応援したくなるキャラクターです。

f:id:Omochimochimochi:20210105145339j:image

 物語の作りが丁寧で、描かれるキャラクターたちも皆素敵だからなのか、この作品を見ていると登場人物たちの感情が本当にこっちにも伝染するんですよ。おかげで感情がすごく疲れます😂でも嬉しい疲労ですね。物語の中の彼らは、楽しい瞬間だけではなく、辛い時間や悲しい時間、もどかしい時間も過ごしているのですが、見ているこちらからするとそのどれもがとても眩しくて。彼らが少し羨ましいなと感じてしまいますし、ここまで思わせるほど視聴者の心に深い印象を与えられる作品なのがすごいなと思います。

f:id:Omochimochimochi:20210105150703j:image

 そしてこの作品内で使われるBGMが、個人的にはとても気に入っています。特に、进步の前に謎の人物が出てくる時の、何とも言えない不安感や緊張感を掻き立てさせるようなBGMが好きです。

 この謎の人物の登場は、物語にとっても进步にとっても、川の流れに大きな石を投げるようなことを意味します(と私は思っています)。キーパーソンを超越した、いわゆる“神”のような、物語や運命の“創造者”であり“引導者”かなと思っていて。つまりこの人が「こっちだよ」と言ったらそれはもうそっちになっちゃうんですよ。进步をはじめとした他の登場人物がどんなに足掻いても、この人が導く流れには決して逆らえない。そういう、いわゆる畏敬の念を視聴者に抱かせるような、圧倒的高次の存在がいるから、この物語が甘すぎず中弛みしすぎず、丁度いい塩梅になれたのかなと思っています。

 話がちょっと逸れましたが、だからこそこの人が出てくる時のBGMもそれはそれは大切で。この人のイメージを損なわさせず、しかし怖すぎる印象を与えてはいけない。神は高次存在であるがゆえに、畏敬の念や緊張感は抱かせる必要はあるが、決して恐怖の対象ではないので。そんな様々な要求を全てクリアしているBGMなんです。今ではこのBGMが流れ始めるだけでワクワクした良い緊張感を抱くようになりました(笑)

 

 

 

 

 

※ここからネタバレあり※

 

 

 

 

 

 すごく素敵なドラマだったのですが、5点満点じゃない理由が2つ。1つは、これは本当に勝手な考えなのですが、個人的に吴智勋がとても好きだったので、吴智勋李青桐が物語の運命上仕方ないとはいえ結ばれなかったのがとても辛かったです。後半は「なんで…なんで…」となりながら見ていたほど辛かったです😂

f:id:Omochimochimochi:20210105145257j:image

 2つ目は、最終話の最後の最後のシーンです。現代に戻ってきた李进步のクラスに転校生として段霄(の見た目の子)がやって来るのですが、自己紹介で「こんにちは、僕の名前は周彦辰です」と言ったことに、心の底からの「なんでや!」が出ました🤣そこは「僕の名前は段霄です」とかにしていれば、段霄もタイムリーパーだったんだ…みたいな感じで続編にも繋ぎやすいですし、物語的にも視聴者にワクワク感を与えながら終われて面白くなったのに、なんで役者本人の名前を出すの⁈ってなりました😂この直前のシーンまで本当に感動する話の流れだったので、半泣きになりながら見ていたのですが、このシーンのせいで爆笑しながら視聴を終えました…😂

 

 色々ありましたが基本的にとても面白い作品でしたし、見たことがない方がいましたら、日本からでも気軽に見れる作品なので、ぜひ見ていただきたいです!

 

f:id:Omochimochimochi:20210105145513j:image