レビュー『八佰』
『八佰』
公式weibo:https://weibo.com/u/6069416831
◎形式
映画
◎上映年
2020年8月21日
◎メインキャスト
谢普元:杜淳
端午:欧豪
羊拐:王千源
老铁:姜武
老算盘:张译
朱胜忠:魏晨
◎日本からの視聴方法
爱奇艺、腾讯视频、优酷アプリなどから(ジオブロあり)
◎あらすじ
本作は1937年の日中戦争中の、第二次上海事変における「四行倉庫の戦い」を舞台としている。租界と川を挟んで隣接するこの倉庫では、謝普元(演:杜淳)が率いる中国軍部隊と日本軍が激しい戦いを繰り広げる。絶望的な状況下で、それでも彼らが中国人兵士としての誇りを忘れず日本軍に立ち向かう様を見て、初めは他人事としていた租界の住民たちも心を動かされる。最後は、日本軍の激しい攻撃を浴びながらも、決死の思いで倉庫から租界へ撤退する部隊の姿が描かれ、映画は幕を閉じる。
◎評価点数
3.5点(5点満点、0.5点刻み)
◎総評と感想
日中戦争下、上海の租界近くで行われる中国軍と日本軍の激しい戦闘を描いた作品でした。突飛なこともおこらず、ただ悲惨な歴史(かつ、中国にとっては不屈と勝利の歴史)を見せつけられているという印象を受けました。私は見ていてとても面白く感じましたが、見る人、特に日本人視聴者にとっては人を選ぶ作品かなと思います。
本作でメインに描かれているのは、謝普元が率いる中国軍の部隊と日本軍の戦闘です。中国軍と日本軍の戦闘シーンでは、目を覆いたくなるほどの残酷な描写が息をつく間もなく展開されます。そしてその戦闘シーンが、本作においてはかなりの時間を割いて描写されています。普通に人が残酷なかたちで次々と亡くなっていくので、戦争映画を観慣れていない方には少しきついかもしれません。
本作は確か日本公開が予定されていて、日本版ポスターなども見かけた気がするのですが、結局どうなったのでしょうか。もし日本の全国の映画館で上映されて、日本人視聴者の目に多く触れるようになったら、どういうリアクションが返ってくるのか、気になるところではあります。
個人的に印象深かったのは、戦闘が繰り広げられていた倉庫と、見かけ上は平和な租界の対比です。倉庫と租界は川を挟んで隣接しています。なのに、今日死ぬかも分からない激しい戦闘下に置かれている倉庫と、夜にネオンが輝きバーや演劇など市民の娯楽が繁盛している租界と、両地点を取り巻く状況には大きすぎる差があります。この差の描写がとても残酷で、倉庫にいる兵士たちが倉庫の窓から川向こうの租界を眺める姿は胸が痛かったです。
物語終盤には、倉庫で奮闘する兵士たちの姿を見ていた租界の中国国民たちが、兵士の姿に胸をうたれ、次第に行動を変えていきます。日本軍の射撃が降ってくる中、橋を渡って倉庫にいる中国軍に電話線を届けようと命がけのチャレンジをしたり、橋を渡って倉庫から租界へ撤退しようとする兵士たちに手を伸ばすなどの様子が描かれました。個人的には、この描写もちょっとグロテスクだな……と思ったり……
抗日戦争映画としてはかなりクオリティが高い作品だったと思います。私はこの作品を見ることが出来て良かったと思いました。中国の動画配信サイトで見れるので、気になった方は是非ご覧ください。