レビュー『谁是凶手』

『谁是凶手』

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◎形式

　ドラマ（全16話）

◎放送期間

　2021年12月

◎メインキャスト

　沈雨：赵丽颖

　冷小兵：肖央

　夏木：董子健

◎放送局

　爱奇艺

◎日本からの試聴方法

　爱奇艺アプリから

◎あらすじ

　17年前、海舟市で女性が連続で殺される事件が発生した。新米刑事の冷小兵（演：肖央）は、重案組に入って初めての出動日に謎の通報を受ける。先輩と共に現場に駆けつけた冷小兵は、ちょうどまさに海舟市連続殺人の新たな殺害現場に出くわす。犯人と対峙するものの、恐怖で発砲することができず、犯人は逃亡。冷小兵が逃した犯人を追いかけた先輩刑事は、犯人によって殺されてしまう。

　17年が経ち、重案隊の隊長になった冷小兵の元に、新人刑事が派遣された。彼の名は夏木（演：董子健）。冷小兵が眼前にして犯人を逃したあの現場の被害者が預かっていた子どもであり、殺害現場の目撃者であった。夏木がここにやってきた真の目的は、17年前の事件を探ることだった。

◎評価点数

　4点（5点満点、0.5点刻み）

◎総評と感想

　日本でも放送された、『バッド・キッズ』や『ロング・ナイト』などを手掛けた、爱奇艺ミステリー劇場（迷雾剧场）2021年4作目です。ハラハラさせ続きをとても気にならせる展開で、役者さんの演技も相まってとても面白い作品でした。ただ、審査の段階で放送話数を大幅にカットされたらしく、最後の展開が少し駆け足になってしまい、話の脈略が飛び飛びになっている印象を受けたのが少しもったいなかったかなと思いました。本当に面白かったので、元々予定していたエピソード全部見たかったです…！

（視聴が3ヶ月ほど前なので、内容を少し忘れている部分があるかもしれません…、すみません）

　昔の連続殺人事件の犯人を自分のせいで捕まえることができなかったと考える刑事・冷小兵と、親のように慕っていた人を殺した犯人を絶対に探し出したい＆過去に易々と犯人を逃した冷小兵を信用していない新人刑事・夏木と、連続殺人事件に父が関わっていると思い、事件の犯人と未だに繋がりを持っている精神科医・沈雨。設定や登場人物があまり複雑ではないため、その分視聴者側が物語に入りやすく良かったです。また、設定や世界観を複雑にし過ぎない分、人物たちの心理戦などで魅せていて、その点も個人的には面白かったなと思いました。

　沈雨の底知れなさ、常人の裏に見える冷徹さがとても魅力的でした。沈雨と夏木の戦いがとてもハラハラさせられて見ていて楽しかったです。2人の会話シーン（心理戦）がとても緊迫感があり良かったので、ぜひ見ていただきたいです。というかこの作品、緊迫感の生み出し方がとっても上手いんですよね。見ていて本当にこっちまで緊張しましたし、感情が作品につられてしまうほど強烈でした。

　17年前の連続殺人事件の犯人は誰か、というのがこの作品の最大の謎なのですが、途中まで視聴者もミスリードされてしまいます。まあ犯人は見ながら推理しても無駄なので（正体的に推理でどうこうできないので）、あまりそこは考えずに見ればいいかなと思います。ただ一言言えるのは、沈雨は本当に可哀想だったな…ということです。まあ彼女も彼女で、頭がいいばかりに過激で冷酷な行動に出てしまったことは事実なので、そこは同情できないよなとも思いました。いや、でも、犯人を知った後に今までの沈雨の行動を振り返ると、なんだかとても悲しい気持ちになってしまいます。

　おそらく審査でカットされた部分というのが、夏木の過去を描いた部分だったのかなと推察されるのですが、物語における彼の人物像の設定上大切な部分だったはずなので、そこをちゃんと見たかったなと思います、やっぱり。外面は優秀な警察官なのに、心は犯人への復讐心と自分以外の人間への不信が詰まっていて、相手に対し感情的になってしまうことが多い人物像はとても魅力的でした。ハマる人は絶対にハマる役柄だと思うので、ぜひ見ていただきたいです。（私にはとてもハマりました、可愛い……）

　新米刑事の頃と隊長になった現在で、人が変わったというくらいガラリと変化した冷小兵。現在では苦汁をたくさん舐めた大人になっていて、その演じ分けがすごいなと思いました。彼の生き様というか、人柄がとてもかっこいいんです。責任感、使命感、全てを背負って、しかし上に立つものとして冷静さも見失わない。この人がいてくれて良かったです、本当に。

　最後が若干駆け足展開になっていましたが、話自体はとても面白く、毎更新日が楽しみになるくらい魅力的な作品だったので、ぜひ見ていただきたいです！