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レビュー『千古玦尘』

千古玦尘

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公式weibo:https://weibo.com/u/7441290348

 

形式

 ドラマ(全49話)

 

放送期間

 2021年6月〜7月(2020年撮影)

 

メインキャスト

 上古/后池:周冬雨

 白玦/清穆/柏玄:许凯

 天启:刘学义

 芜浣:张嘉倪

 炙阳:李泽锋

 古君:赖艺

 暮光:付辛博

 月弥:罗秋韵

 凤染:张雅钦

 

放送局

 腾讯视频

 

日本からの視聴方法

 腾讯视频アプリから

 

あらすじ

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 上古(じょうこ)の時代、神界は3人の真神と彼らの上に立つ真神・上古(演:周冬雨)を中心に穏やかな時間を過ごしていた。上古はいずれ混沌の力を修練し、神界、仙界、妖界、そしていずれできる人間界に安寧をもたらす混沌主神となる使命を抱えているが、育ての兄のような真神・天启(演:刘学义)、親友の月弥(演:罗秋韵)に甘やかされて育ち、神力を鍛えることもせず毎日遊んでばかり。見かねた真神の炙阳(演:李泽锋)は、もう1人の真神・白玦(演:许凯)に上古の特訓を任せる。天真爛漫で自由奔放なサボリ魔・上古と、真面目で公正無私の冷血漢・白玦は、初めこそ相容れない様子だったが、相手のことを知るにつれ次第にお互い惹かれあっていく。

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 厳しい修練を終え混沌の力を大成し、ついに混沌主神となる儀式の日を迎えた上古。しかし彼女はそこで自分の運命を知る。それは、混沌主神となり世界に安寧をもたらすことではなく、世界を脅威から守るために混沌の力を持ったまま人柱になり、世界のために命を捧げることだった。白玦上古を守ろうと彼女を止めようとするが、上古の意思は固く、天に消えてしまう。さらに好機とばかりに魔族が神界に侵攻してきた。神界はなんとか魔王を消滅させることに成功するが、その代償はあまりにも大きかった。

 魔族との大戦から6万年余りの月日が経ち、神界は封鎖され、世界は仙界、人間界、妖界の3つに分かれていた。仙界と妖界の間には幾万年にもわたる対立が続いている。そのどの世界にも属さない山奥にひっそりと佇む清池宫では、かつての上古真神の弟子・古君(演:赖艺)の“娘”・后池が今日も訓練を続けていた。

 

評価点数

 4点(5点満点、0.5点刻み)

 

総評と感想

 長い長い愛のお話でした。前半は単純な武侠恋愛モノかと思ったのですが、全体の4分の1を迎えたあたりで物語のトーンが一変。それ以降は毎話辛くしんどい気持ちを抱えながら、それでも幸せな時間が来ることを祈って見ていました。前半がやや面白みに欠けるのでそこで視聴をやめる方が多いかもな、と。個人的には12話から面白くなったと感じたので、ぜひ12話まで頑張っていただきたいです…!また、特に戦闘シーンなどにCGがふんだんに盛り込まれていたのですが、そのCGがとても綺麗で感動しました。個人的にはハリポタ映画と同レベルくらいには綺麗ですごかったと思っています。

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 上古を演じた周冬雨はスクリーン女優としてとても有名な女優さん。古装はあまり印象がなかったです。物語前半のとにかく無邪気で天真爛漫な上古を演じている時は、ちょっと役者とキャラが合っていないかもなという印象を受けましたが、后池になって辛く葛藤したり苦しんだりするシーンが増えてくると彼女の良さが光り始めたと感じました。泣きの演技がとても悲惨さを伝えてきて、胸が締め付けられました。ただ、彼女自身ものすごい女優さんだということはよく分かっているつもりですが、でもやっぱりこの役は彼女にとっても挑戦になった役だったんじゃないかなと思います。

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 視聴者が今作を見て胸が痛むシーンは、女主より男主のシーンかなと思います。それほどまでに白玦が苦労人すぎて…、なんか最後の方は毎話泣いてる?というくらい泣いてました、白玦が。見ていただければ分かると思うのですが、本当に白玦が背負うものが重すぎる。女主男主どちらも、相手のためを思って行動しているはずなのですが、お互い自分の考えが1番正しいと思っているのか結果として相手に誤解を与えることが多く…、そして白玦はそれで后池には命をかけて憎まれるし上古にも絶縁を告げられるし、いやしんどすぎる……と後半はいつも頭を抱えながら見ていました。

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 今作は男主女主は性格の全く違う2役を役者さんが演じあげられているので、许凯さんファンの方はぜひ見た方がいいと思います。クールな姿、穏やかで優しい姿、甘えん坊な姿、怒り顔、泣き顔、すごく辛そうな泣き顔、静かに絶望する表情、吐血シーン、戦闘シーンなどなどたくさんの姿を見れて楽しめること間違いなしです。また、(記憶が正しければ)公式weiboアカウントが挙げていたインタビューを見たのですが、许凯さんご本人的にも今まで演じてきた役の中で今回の役が1番辛い目に遭っているそうなので、辛い目に遭う许凯さんが見たい方にもぜひオススメしたく思います。

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 男主女主だけでなく周りの役者さんも素敵でした。ラスボス・芜浣を演じた张嘉倪さんの、強く凛々しく美しく、その分強い執着と意地、そしてかすかな狂気が滲み出る演技が流石でした。芜浣は神界時代、焦りのあまりあることの本意を知ろうとせず誤解したまま決めつけてしまった結果、そこから拗らせ続け、最終的に本当に悪いやつになっていったキャラです。芜浣をはじめ話が通じない嫌なキャラと、その嫌なキャラたちの発言に流され真実を見ようとしない周りの大勢がたくさん出てくるので、そこでフラストレーションを覚える方は見てて辛いかな…と思います。私は辛かったですし、すごくイライラしながら見てました。自分の思い込みで事実と決めつけ極端な思考回路に発展するのは女主の上古も一緒で、私はそこにもイライラしながら見ていたのですが……、でもイライラしながらも楽しめたので、大丈夫です。(?)

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 載せている画像(全てweiboの公式アカウントより引用しています)を見ていただけたらわかると思うのですが、衣装や小道具をはじめ舞台セットにたるまで、美術装飾が本当に綺麗なんですよね。やはり衣装や美術の豪華さは古装ドラマの魅力の大きな一部分だと思うので、そこが好きで古装ドラマを見ているよという方にも楽しんでいただけるんじゃないかと思います。あと最初に書いた通りCGが綺麗で、戦闘シーンのエフェクト演出のみならず、魔獣の姿や神界の神殿なども迫力やスケールが抜群でした。

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 上の画像の天启もしんどいシーンが多いです。というかこのドラマ、男性キャラがしんどさを抱えすぎて…辛い…。男主と女主には最後に救いが用意されていたのに、天启には救いがなかったのが未だに納得できません。天启も幸せにしてあげてよ……。きっと本編見た人みんな天启のこと好きになっちゃうんじゃないかなというくらい、いいキャラしてます。彼がずっと彼でい続けてくれたからこそ最後救いのある終わり方になれたと思うので、もっとみんな天启に感謝してよ!の気持ちです。

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 実は今作、最初の方に「前半は面白みに欠ける」と書きましたが、中国本土でも最初の方はあまり良い評価がつかず、原作小説のファンも「原作を改悪してる!」と怒っていました。ですが、中盤から後半にかけてどんどん面白くなっていくにつれ評価も上がっていき、後半はさまざまなドラマ話題度ランキングで上位を維持し続けていました。なのでぜひ、少し面白くなるまで我慢の時間が長くなるかとは思いますが、ぜひ見続けていってほしいと思います。

 

 気が遠くなるほどの長い時間をかけて、誰かを愛し続け、その相手のためならば自分がどんなに犠牲になろうとも惜しくない。そんな素敵で重くて壮大な愛と残酷な運命を描いたお話です。気になった方はぜひご覧ください♪

 

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