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レビュー『木兰之巾帼英雄』

木兰之巾帼英雄

(邦題:『ムーラン〜美しき英雄〜』)

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形式

 映画

 

上映年

 2020年(2019年撮影)

 

メインキャスト

 木兰:刘泳季

 拓跋熬:符龙飞

 李坤鹏:余凯宁

 青青公主:菊麟

 

放送局

 优酷

 

日本からの視聴方法

 优酷アプリから、DVD(日本語吹替&字幕付き)

 

あらすじ

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 北魏時代、遊牧民族柔然が中原に攻め込んできた。北魏木兰(演:刘泳季)は、同じ城を守っている将軍・拓跋熬(演:符龙飞)が柔然軍に捕らえられたという報せを聞き、敵陣に赴き彼を救い出すが、今度は自分が捕らえられてしまう。捕虜となっても、その持ち前の勇敢さと聡明さで柔然頭首の娘(=柔然の姫)・青青公主(演:菊麟)などからも一目を置かれる木兰。しかし頭首に反感を抱いていた柔然の将軍・李坤鹏(演:余凯宁)は、そんな木兰を利用し部族の王になろうと画策していたのだった。

 

評価点数

 2.5点(5点満点、0.5点刻み)

 

総評と感想

 ディズニーなどでも取り上げられている有名人物・ムーランを主人公に描いた作品です。戦闘描写や殺戮描写がリアル寄りなので、苦手な人は苦手かな、と思います。ですが、その分忠実にに描かれているということなので、リアルな史劇が見たいという方にはオススメです。また、作品内で描かれている期間が短いので、その分それぞれの登場人物がしっかり描かれていました。

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 ムーランを描いた作品は過去含め多数ありますが、この映画では、ムーランが立ち向かった短い期間の一つの出来事に絞って描いている点が印象的でした。また、ムーランという人物を取り上げる作品では、“女性なのに男性のふりをしている”という彼女のアイデンティティ面が強調されることが多い印象を持っていましたが、この作品内ではそういうことはなく、終始強く凛々しくかっこいいムーランが描かれていました。個人的にはこの点がとても好きでした。

 映画やドラマを見るにおいて、主人公がどういう人物なのかというのはやはり重要だなと思います。感じ方は人それぞれですが、私としては、今回のムーランのような聡明でかっこいい女性が主人公だと、とてもストレスなく作品を見ることができると感じました。

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 また、ムーラン以外の女性の登場人物である柔然の姫・青青公主も強くて素敵な女性です。彼女も周りの意見に流されず、自分の目と頭で物事や相手を理解できる人物。そんな彼女とムーランの友情が素敵でした。最後のシーンで、青青公主がムーランに「もしあなたが男だったら、私は嫁いだのに」、ムーランが青青公主に「もし私が男だったら、あなたを奥さんにしていました」と語る場面が本当に美しかったです。

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 もちろん男性の登場人物もとても素敵でした。私が1番好きなのが上の画像の将軍こと拓跋熬です。彼は北魏皇帝の息子で、任命されて城を守る将軍を務めています。人物紹介では、「人々の苦しみを理解していない」「勝利のための弱者の犠牲を気にしない」と書かれていたのですが、本編では全くそんなことはなく…

 確かに少し世間知らずのお坊ちゃんかな?というシーンは少しありましたが、ムーランとも“兄弟関係”と言えるほどお互いを信頼していたりなど、彼なりに目の前の柔然という脅威に対してしっかり立ち向かっていました。まあ最後までムーランが女性だと気付かなかったのですが。(かわいい…)

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 完全に余談ですが、将軍を演じられた俳優さんが私の好きな方なので、彼が映るシーンはとてもハラハラドキドキしながら見ていました。将軍、絶対に戦に向いてないのに一生懸命戦っていたのですが、その姿がとても可愛くて……。もしこの映画に応援上映があったのなら、絶対に将軍うちわを作って応援しに行ってました。

 ただ、ムーランと後述の李坤鹏は声もご本人が当てられていたのですが、将軍の声は配音で別の方の声が当てられていて、それがとても寂しかったです。符龙飞さんの将軍ボイス、聞きたかった……

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 この物語のヒール役である柔然の武将・李坤鹏も素敵なキャラクターでした。終始卑劣で極悪非道で、悪役の鑑です。行動はさながら表情までも悪そのものでした。演じられた余凯宁さんは撮影当時まだ25歳、それでこの貫禄かと思うと、その演技力に脱帽します。また、柔然は北方の遊牧騎馬民族であるため、中原の北魏とは民族風土も違います。それゆえ、着ている衣服、身につけている小物なども両者は全く異なっているのですが、作品内で柔然民族たちが身につけている派手な衣服や小物がとても素敵でした。

 

時間も約1時間半と長くなく、また日本語吹替や字幕もついていて見やすいと思うので、気になった方はぜひ見てください!

 

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